オンライン大学院入試の記録2020
やっとすべての院試の結果が出たので、オンライン院試の記録を残しておこうと思います。オンライン院試は受験者とおそらく大学側の双方にとって馴染みのない形態で、聞いてもググっても十分な情報を得られず不安になることも多かったので、未来のオンライン院試受験生に向けてこのような記事を公開するのは有益だろうと思っています。
すぐわかるまとめ
オンライン院試に必要な環境
- 指定されたミーティングアプリケーションが使える PC など
- 静かな部屋
- 不正防止のために誰もいないことが求められる
- 試験中は集中したいので非常に大事。長くて30分程度なので、その時間帯だけお願いして研究室を貸し切りにするなど
- ミーティングアプリケーションに接続できるカメラとマイク
- 不正防止
- 大学によっては、解いている様子をカメラで映し続けないといけないらしい
- 映し続ける必要がない場合でも、必要に応じてどこまで解けたかを映すとよいらしい(NAIST がそういう形式だったと聞いた)
- 紙とペンなど、その他指定されたもの
実施形態
実施形態 | 外部英語試験のスコアを出せないとき | 出題数 | 解答時間 | 研究内容についての質疑応答 | |
---|---|---|---|---|---|
大阪大学 大学院情報科学研究科 マルチメディア工学専攻 | 現地 | 入学後の希望研究内容について英語で2分程度説明 | - | - | あり |
東京工業大学 情報理工学院 情報工学系 | オンライン | 英語の質問1題に口頭で答える | 各科目1題ずつ | 1分程度 | なし |
名古屋大学 大学院情報学研究科 知能システム学専攻 | オンライン | 英語の問題を全員出題 | 各科目1or2題ずつ | 4分程度 | あり |
この記事で書くこと・書かないこと
書くこと
- 2020年に行われた各大学の院試実施形態
- オンライン院試の場合は、
- 試験当日までの流れ
- 問題の出され方や答え方
- 必要な環境
書かないこと
- オンライン筆答問題の内容
- 個人的な院試記録
- どんな教材で勉強した?
- いつから受験対策をはじめた?
- 感想は?
なお、個人的な院試の記録は別記事に書きました。
自己紹介
高専の専攻科2年生です。自然言語処理を専門とする先生のもとで、人間の感情とか性格を反映した対話システムができたら最高だな〜という気持ちで研究をしています。
いまのところの成果はこんな感じです。 https://yamasy.info/#research
大阪大学 大学院情報科学研究科 マルチメディア工学専攻
実施形態
- 筆記試験・口頭試問ともに大学現地で開催。日程・時間・場所ともに当初から変更なし
- 構内ではマスクを外してはいけない。受験者はマスク着用 and 手指消毒 and 検温して入室。試験官はフェイスシールドをしている
試験当日までの流れ
- 4月:5,6月の TOEIC の中止が決定する。ちなみに、6月の TOEIC が院試当日までにスコアを提出できる最後のチャンスだった
- 6月:「TOEIC スコアの有効期限(=直近 2 年以内の制限)は変更なし、スコアを提出できない場合は口頭試験で英語試験を実施する」との案内が出る
- 6月:「感染症の疑いがあり受験できなかった場合は追試験を実施する」との案内が出る
- 6月:出願
- 7月:受験票到着
- 8月:筆記試験・口頭試問
筆記試験
- ペーパーテスト。試験科目に変更なし
- 不正防止のためか感染症対策のためかはわからないが、席の間隔は広め
口頭試問
- TOEIC などの外部英語試験の有効期限(2年以内)に変更はなし。用意できない場合は口頭試験時に英語試験を実施
- 「英語試験では、入学後の希望研究内容について英語で2分程度説明せよ。内容について英語で質問する場合がある」と、受験票と同時に郵送されるプリントに書いてあった
- 最初の英語試験以外は日本語
- 口頭試問時もマスクを着用しながら話す。教授陣もみなマスクをしている
- 研究内容についての質疑応答がある
東京工業大学 情報理工学院 情報工学系
実施形態
- A/B日程とも、すべて zoom を使ったオンラインの試験
- 予定されていたTOEIC 特別団体試験は中止
試験当日までの流れ
- 2月:3月の TOEIC の中止が決定する
- 3月:「TOEIC のスコアを提出できない場合に特別措置を行う」との案内が出る
- 4月:「TOEIC 特別団体試験を6月に実施する」との案内が出る
- 5月:「6月に予定していたTOEIC 特別団体試験を8月に延期する」との案内が出る
- 6月:「A日程の試験はオンラインで行う」との案内が出る
- 6月:出願
- 7月:A/B日程の通知
- 8月:「TOEIC 特別団体試験を中止し、口述試験で質問をする」「B日程の試験はオンラインで行う」との案内が出る
- 8月:口述試験・口頭試験
口述試験(B日程筆答試験のかわり)
- 試験内容を録画・録音しないこと、試験時に知り得た内容を試験期間終了までは口外しないことなどを認め、あらかじめ誓約書にサインする
- 紙とペンを用意してはいけない
- 3人の試験官が同じ部屋にいて、1人が進行し、1人が問題を読み上げ、1人が解答を記録している
- 画面共有で問題の書かれたスライドが映される。科目ごとに問題が1問ずつ出題される
- 左上に科目番号以外の連番が書かれていたことから推測して、問題のバリエーションは複数ありそうだった
- 試験科目自体は予定通りだが、問題を見る前に選択科目を選ぶ必要があった
- 問題が読み上げられ、その後1分以内に考えて答える
- 外部英語試験スコアを提出できなかった人は、ひとつ口頭で質問され、それに答える
- 研究内容についてのやりとりはない
口頭試験
- おそらく成績順に呼ばれ、行きたい研究室の椅子取りゲームをする
- これは例年通りの内容がオンラインになっただけ?
名古屋大学 大学院情報学研究科 知能システム学専攻
実施形態
- すべて zoom を使ったオンラインの試験
試験当日までの流れ
- 4月:5,6月の TOEIC の中止が決定する。ちなみに、6月の TOEIC が院試当日までにスコアを提出できる最後のチャンスだった
- 5月:「試験日を予定より送らせて9月頃に実施する」「英語外部試験の有効期限を直近3年までに広げる」との案内が出る
- 7月:「試験を口頭試問としオンラインで行う」「英語外部試験のスコアを合否に使わない」との案内が出る
- 8月:出願
- 8月:受験票到着
- 9月:口頭試問
口頭試問
- 前日に接続チェックがある
- 開始時に、試験問題を口外しないことを確認する。口外禁止期間がいつまでか忘れてしまったので、問題の内容は書けません……
- 紙とペンを用意する
- 教授陣が1人1アカウントずつ接続している。進行役でない教授陣は基本的に顔を映さないが、イニシャルになっている表示名から予想して、誰が話しているかわかる
- 画面共有で問題の書かれたスライドが映される。科目ごとに問題が1問か2問ずつ出題される
- 試験科目は予定通り
- 問題が映され、4分以内に考えて答える
- 手元や、問題を解くのに使った紙は見せなくてよい。うまく答えられなかった場合は(たぶん部分点を与えるために)紙を見せて説明するよう指示される
- 英語外部試験のスコアを合否に使わないことになったので、必ず英語も出題される
- 研究内容についての質疑応答がある
おわりに
一度出した情報は訂正しにくいからか、どの大学も慎重に実施方法を検討していたのだろうなぁと思いました。なかなか情報が出なくて不安になることが多かったですが、大学側も初めてのハプニングに混乱してるのかなぁと考えるとこればっかりは仕方ないですね。TOEIC は早めに受けておこう!!!
残念ながら、過去問はほとんど役に立ちませんでした。受験者的には「難しくて時間のかかる問題は出ないだろうから定義をちゃんとおさえておこう!」という戦略で、基本的な問題を確実に解けるようになるといいと思いました。体感的には、高専の本科5年生でも十分に解答できそうな内容でした。特にプログラミング分野は、画面にたくさんソースコードを表示できないので、ソースコードをじっくり読んで答えさせるような問題を作りにくい事情がありそうです。
おしまい